「志望動機、何を書けばいいのか全然思いつかない…」
「正直、給料が良いからなんだけど、それって書いていいの?」
「どの会社にも当てはまるような内容になってしまう」
履歴書や職務経歴書を書くとき、多くの人が一番悩むのが「志望動機」です。
私も初めて転職活動をしたとき、志望動機を書くのに丸一日かかりました。「この会社のどこに魅力を感じたのか」「なぜこの会社を選んだのか」を言葉にするのが、こんなに難しいとは思っていなかったんです。
でも、何社も応募書類を書いているうちに、あることに気づきました。
志望動機には「型」があるんです。
この型さえ理解すれば、どんな企業の志望動機もスムーズに書けるようになります。そして、採用担当者の心に響く志望動機を作ることができるんです。
この記事では、転職活動で使える志望動機の書き方を、基本の構成から職種別の例文まで、実践的に解説していきます。
「書き方が分からない」「毎回同じような内容になってしまう」という方も、この記事を読めば、自信を持って志望動機が書けるようになりますよ!
志望動機がなぜ重要なのか
まず最初に、なぜ志望動機がこんなにも重視されるのか、採用担当者の視点から理解しておきましょう。
採用担当者が志望動機で見ているポイント
採用担当者は、志望動機を通じて以下の3点を確認しています。
採用担当者が知りたいこと
- 本気度: 本当にうちの会社で働きたいと思っているのか?
- マッチ度: 会社の方向性や価値観と合っているか?
- 定着性: すぐに辞めずに長く働いてくれそうか?
つまり、志望動機は「あなたとこの会社の相性の良さを証明する場」なんです。
どんなにスキルが高くても、「とりあえず応募しました」という姿勢が見えると、採用されにくくなります。逆に、熱意が伝わる志望動機があれば、多少スキルが足りなくても「この人と一緒に働きたい」と思ってもらえることもあるんです。
よくある「薄い志望動機」が落とされる理由
「御社の理念に共感しました」「成長できる環境だと思いました」…こんな志望動機、よく見かけますよね。
でも、これだけではどの会社にも当てはまる内容なので、説得力がありません。
採用担当者の本音
「理念に共感って、うちの理念をちゃんと読んだのかな?どの会社にも言えることを書いてるだけじゃない?この人、本当にうちに入りたいのかな…」
採用担当者は、毎日何十枚もの応募書類を見ています。その中で「この会社じゃないとダメな理由」が書かれた志望動機は、一目で分かるんです。
だからこそ、具体的で、その会社ならではの志望動機を書くことが大切なんですね。
志望動機の基本構成「3つの要素」
それでは、具体的にどう書けばいいのでしょうか。
志望動機には、基本となる「型」があります。それが「①なぜこの業界か」「②なぜこの会社か」「③入社後どう貢献するか」の3つの要素です。
志望動機の基本構成
① なぜこの業界か(業界への関心)
なぜこの業界で働きたいと思ったのか。業界の魅力や将来性について触れる。
② なぜこの会社か(企業への共感)
業界の中でも、なぜこの会社を選んだのか。この会社ならではの特徴を具体的に。
③ 入社後どう貢献するか(自分の価値)
自分の経験やスキルを活かして、どう貢献できるか。未来志向で締めくくる。
この3つの要素を意識するだけで、志望動機の説得力がグッと上がります。
では、実際にこの構成を使った例文を見てみましょう。
💡 基本構成を使った志望動機例(営業事務→IT企業の営業事務)
①なぜこの業界か: IT業界は今後も成長が見込まれる分野であり、社会インフラとして欠かせない存在になっていると感じています。私自身もITサービスの利便性を日々実感しており、この業界で働きたいと考えるようになりました。
②なぜこの会社か: 御社のクラウドサービスは、中小企業の業務効率化を支援するという明確なビジョンがあり、社会貢献性の高さに魅力を感じました。また、顧客満足度95%という実績からも、製品力とサポート体制の高さが伺え、こうした環境で働きたいと強く思いました。
③入社後どう貢献するか: 前職で培った営業事務のスキルと顧客対応力を活かし、御社のサービスを支える事務業務に貢献したいと考えております。特にデータ管理や業務効率化には自信がありますので、早期に戦力となれるよう努めてまいります。
このように、3つの要素を順番に盛り込むことで、筋の通った説得力のある志望動機になります。
志望動機を書く前に必須!企業研究のやり方
志望動機の8割は「企業研究」で決まります。
どんなに文章力があっても、企業のことを知らなければ、薄っぺらい志望動機になってしまいます。逆に、しっかり企業研究をしていれば、「この人、うちのことをちゃんと調べてくれているな」と好印象を与えられるんです。
最低限チェックすべき5つの情報源
志望動機を書く前に、以下の5つは必ずチェックしましょう。
📚 企業研究のチェックリスト
① 企業の公式サイト
- 会社概要、事業内容
- 企業理念、ビジョン、ミッション
- 代表メッセージ
- 主力商品・サービス
② 採用ページ
- 求める人物像
- 社員インタビュー
- 福利厚生、働き方
③ ニュースリリース
- 最近のプレスリリース
- 新サービスや新規事業
- 受賞歴
④ 口コミサイト
- OpenWork、転職会議など
- 実際の社風や働き方
- 良い点・悪い点の両方を確認
⑤ SNSや社長ブログ
- 企業の公式Twitter、Facebook
- 社長や社員のブログ
- 会社の雰囲気や価値観が分かる
この中で特に重要なのが、①企業の公式サイトと③ニュースリリースです。
企業研究で見つけるべき「刺さるポイント」
企業研究をするときは、ただ情報を集めるだけでなく、「自分が共感できるポイント」を見つけることが大切です。
例えば以下のようなポイントを探してみましょう。
💡 志望動機に使える「刺さるポイント」の例
- 企業理念や代表メッセージの中で共感した言葉
- 商品・サービスの独自性や社会貢献性
- 社員インタビューで印象に残ったエピソード
- 最近のニュースで知った新しい取り組み
- 業界内での独自の強みやポジション
- 顧客満足度や受賞歴などの具体的な実績
これらのポイントを見つけたら、メモしておきましょう。志望動機を書くときに、「御社の○○に魅力を感じました」という具体的な理由として使えます。
絶対にやってはいけない!志望動機のNG例
良い志望動機を書く前に、まずはNGパターンを知っておきましょう。これを避けるだけで、書類選考の通過率が上がります。
❌ NG例①:どの会社にも当てはまる内容
「御社の企業理念に共感しました。成長できる環境で働きたいと思い、応募いたしました」
なぜダメ? どの企業にも言える内容で、具体性がゼロ。「本当にうちのこと調べたの?」と思われます。
❌ NG例②:自分のことばかり
「スキルアップしたいです。研修制度が充実しているので応募しました。将来は○○のスキルを身につけたいと思っています」
なぜダメ? 「会社に何を与えられるか」ではなく「会社から何をもらえるか」ばかり。会社は学校ではありません。
❌ NG例③:ネガティブな転職理由だけ
「前職は残業が多く、給料も安かったので転職を決意しました。御社は待遇が良いと聞き、応募しました」
なぜダメ? 前職の不満だけで、なぜこの会社を選んだのかが伝わらない。「条件だけで選んでるのかな」と思われます。
❌ NG例④:嘘や大げさな表現
「子供の頃から御社の製品を愛用しており、御社で働くことが夢でした」
なぜダメ? 嘘はすぐバレます。面接で深掘りされたときに答えられなくなります。
これらのNG例に共通しているのは、「具体性がない」「企業研究が足りない」「自分本位」という点です。逆に言えば、これらを避ければ、グッと良い志望動機になるということですね。
ケース別・職種別の志望動機例文集
それでは、具体的な例文を見ていきましょう。あなたの状況に近いケースを参考にしてくださいね。
ケース①:同業種・同職種への転職(営業→営業)
✅ 良い例文
前職では法人向けの営業として3年間従事し、顧客の課題をヒアリングして最適な提案を行うことにやりがいを感じてきました。今後はより専門性を高め、IT分野での営業スキルを磨きたいと考えるようになりました。
御社のSaaSサービスは、中小企業の業務効率化という明確な課題解決に特化しており、社会貢献性の高さに強く共感いたしました。また、顧客満足度96%という実績は、製品力だけでなく営業とサポートの質の高さを物語っていると感じ、こうした環境で自分も成長したいと考え応募いたしました。
前職で培った提案力とヒアリング力を活かし、御社の顧客拡大に貢献したいと考えております。
ケース②:異業種・同職種への転職(小売の事務→IT企業の事務)
✅ 良い例文
前職では小売業界の営業事務として、受発注管理や顧客データ管理を担当してまいりました。業務を通じてITシステムの重要性を実感し、今後はIT業界で事務のプロフェッショナルとして成長したいと考えるようになりました。
御社は人材マッチングサービスを通じて、企業と求職者の双方に価値を提供しており、その社会的意義に魅力を感じました。また、社員インタビューで「事務職もサービスの一翼を担っている」という言葉に共感し、私も貢献したいと強く思いました。
前職で身につけたExcelスキルと正確な事務処理能力を活かし、御社の事業を支える業務に貢献してまいります。
ケース③:未経験職種への転職(接客→事務)
✅ 良い例文
前職では飲食店でホールスタッフとして4年間勤務し、お客様対応や売上データの管理を担当してまいりました。業務の中でデータ管理やExcelでの分析業務に興味を持ち、事務職としてキャリアを築きたいと考えるようになりました。
御社の「顧客第一主義」という理念に強く共感いたしました。前職でも常にお客様の立場に立って考えることを大切にしてきましたので、この価値観を共有できる環境で働きたいと思いました。また、未経験者へのサポート体制が整っている点も、応募を決めた理由の一つです。
前職で培ったコミュニケーション力と、細かい気配りを活かし、社内外の円滑なやり取りをサポートできる事務職を目指します。入社までにExcelスキルをさらに磨き、早期に戦力となれるよう努めてまいります。
ケース④:キャリアアップ志向(一般事務→人事事務)
✅ 良い例文
前職では一般事務として5年間、幅広い業務を経験してきました。その中で採用関連の業務をサポートする機会があり、人事業務に強い関心を持つようになりました。今後は人事のプロフェッショナルとして専門性を高めたいと考え、転職を決意しました。
御社は社員の成長を支援する制度が充実しており、「人を大切にする企業文化」が根付いていると感じました。また、採用活動にも力を入れており、人事部門の重要性を理解されている点に魅力を感じました。こうした環境でこそ、人事としてのキャリアを積みたいと考えております。
前職で培った事務処理能力とコミュニケーション力を活かし、採用業務や労務管理のサポートに貢献したいと考えております。
ネガティブな転職理由をポジティブに変換する方法
「正直、給料が安いから」「人間関係が辛いから」…本音の転職理由は、ネガティブなことが多いですよね。
でも、そのまま書いてしまうと印象が悪くなります。かといって、嘘を書くのも良くありません。
そこで大切なのが、ネガティブな理由をポジティブな目標に変換するという技術です。
ネガティブ→ポジティブ変換の型
「前職では○○でしたが、
次の環境では△△を実現したいと考え、
御社の□□に魅力を感じました」
具体的な変換例
❌ ネガティブ:
「給料が安くて生活が苦しいから」
✅ ポジティブ変換:
「前職では基本的なスキルを身につけることができましたが、今後はより専門性を高め、自分の市場価値を上げていきたいと考えるようになりました。御社では成果に応じた評価制度があり、自分の成長が正当に評価される環境で働きたいと思いました」
❌ ネガティブ:
「残業が多すぎて体を壊しそう」
✅ ポジティブ変換:
「前職では業務効率化に取り組み、チーム全体の残業時間削減に貢献してきました。今後は、よりワークライフバランスを重視しながら、効率的に成果を出せる環境で働きたいと考えています。御社のリモートワーク制度や働き方改革への取り組みに魅力を感じました」
❌ ネガティブ:
「上司と合わなくて毎日がストレス」
✅ ポジティブ変換:
「前職では与えられた業務をこなす日々でしたが、もっと主体的に提案し、チャレンジできる環境で働きたいと考えるようになりました。御社の風通しの良い社風と、若手にも裁量を与える文化に魅力を感じ、応募いたしました」
ポイントは、前職の不満を直接書くのではなく、「次の環境で何を実現したいか」という前向きな目標に変換すること。そして、その目標が応募先企業で叶うことを伝えるんです。
志望動機と自己PRの違いとは?
「志望動機」と「自己PR」、混同してしまう方も多いのですが、実は明確に違います。
志望動機と自己PRの違い
志望動機:
「なぜこの会社で働きたいのか」を伝える
→ 企業への興味・共感がメイン
自己PR:
「私はこんな人間で、こう貢献できる」を伝える
→ 自分の強み・実績がメイン
つまり、志望動機は「企業目線」、自己PRは「自分目線」なんです。
両方をバランス良く盛り込む
ただし、志望動機の中にも「自分がどう貢献できるか」という要素は含めるべきです。完全に切り離すのではなく、以下のようなバランスで書くと良いでしょう。
💡 志望動機の理想的なバランス
- 企業への共感・魅力:60%
- 自分がどう貢献できるか:40%
「御社の○○に魅力を感じました(企業への共感)。私の△△という経験を活かして、□□に貢献したいです(自分の価値)」という流れが理想的です。
履歴書と職務経歴書での書き分け方
志望動機は、履歴書にも職務経歴書にも書くことがありますが、実は書き分けるのがポイントなんです。
履歴書の志望動機:コンパクトに要点だけ
履歴書のスペースは限られているので、3〜5行程度で簡潔にまとめましょう。
📝 履歴書の志望動機例(簡潔版)
御社のクラウドサービスが中小企業の課題解決に特化している点に魅力を感じました。前職で培った営業事務のスキルと顧客対応力を活かし、御社の事業に貢献したいと考え応募いたしました。
職務経歴書の志望動機:具体的に詳しく
職務経歴書では、もう少し詳しく、200〜300文字程度で書いてもOKです。企業研究で見つけた具体的なポイントを盛り込みましょう。
📝 職務経歴書の志望動機例(詳細版)
前職では営業事務として5年間、受発注管理や顧客データ管理を担当してまいりました。業務を通じてITサービスの重要性を実感し、今後はIT業界で専門性を高めたいと考えるようになりました。
御社のクラウドサービスは、中小企業の業務効率化という明確な課題解決に特化しており、その社会貢献性の高さに強く魅力を感じました。また、顧客満足度96%という実績や、社員インタビューで拝見した「顧客第一主義」の姿勢に共感し、こうした環境で働きたいと考え応募いたしました。
前職で培った正確な事務処理能力とExcelスキル、そして顧客対応力を活かし、御社の事業を支える業務に貢献したいと考えております。
面接で志望動機を聞かれたときの答え方
書類選考を通過すると、面接でも必ず「志望動機を教えてください」と聞かれます。
ここで重要なのは、書類に書いたことをそのまま読み上げるのではなく、自分の言葉で語ることです。
面接での志望動機の答え方(構成)
面接での答え方の型
① 結論から(30秒)
「御社の○○に魅力を感じ、応募いたしました」
② 理由を具体的に(1分)
「具体的には、△△という点です。なぜなら…」
企業研究で見つけた具体的なエピソードを交えて
③ 自分の貢献で締める(30秒)
「前職での□□の経験を活かして、御社に貢献したいと考えております」
全体で1分半〜2分程度を目安にしましょう。長すぎると飽きられますし、短すぎると熱意が伝わりません。
面接ならではの「プラスα」を加える
書類に書いたことをベースにしつつ、面接では「実際に会社を見て感じたこと」を加えると、さらに印象が良くなります。
💡 面接でのプラスα例
「実際に御社のオフィスに伺って、社員の皆様が活き活きと働いている様子を拝見し、改めて御社で働きたいという気持ちが強くなりました」
「受付の方が非常に丁寧に対応してくださり、社員教育の行き届いた会社だと実感いたしました」
このように、その場でしか言えない感想を加えることで、「この人は本気でうちに入りたいんだな」と伝わります。
志望動機を書くときの5つのチェックポイント
志望動機を書き終えたら、提出前に以下の5つをチェックしましょう。
✅ 提出前チェックリスト
① 「この会社ならでは」の理由があるか?
→ 他社にも言える内容になっていないか確認
② 企業研究の成果が盛り込まれているか?
→ 企業サイトやニュースから得た具体的な情報を使っているか
③ 自分がどう貢献できるか書かれているか?
→ 企業への共感だけでなく、自分の価値も伝えているか
④ ネガティブな表現になっていないか?
→ 前職の不満ではなく、前向きな目標になっているか
⑤ 誤字脱字はないか?
→ 特に企業名は絶対に間違えない!
特に企業名の間違いは致命的です。「株式会社」の位置や、正式名称を必ず確認しましょう。
まとめ:志望動機は「企業研究」と「自分の言葉」が鍵
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!志望動機の書き方、イメージできたでしょうか?
志望動機は、一見難しそうに見えますが、型を理解して、企業研究をしっかりすれば、誰でも書けます。
📌 この記事の重要ポイント
- 志望動機は「①なぜこの業界」「②なぜこの会社」「③どう貢献するか」の3要素
- 企業研究が8割。公式サイト、ニュースリリース、社員インタビューを必ず見る
- 「どの会社にも当てはまる内容」は絶対にNG
- ネガティブな転職理由は、ポジティブな目標に変換する
- 志望動機と自己PRは別物。バランスを意識する
- 履歴書は簡潔に、職務経歴書は詳しく書き分ける
- 面接では書類の内容+「実際に見て感じたこと」を加える
- 提出前に必ずチェックリストで確認する
私も最初は志望動機を書くのに何時間もかかっていましたが、この型を理解してからは、1社あたり30分〜1時間で書けるようになりました。
大切なのは、テンプレートをそのまま使うのではなく、企業研究をして「自分の言葉」で語ること。そうすれば、あなたの本気度が必ず採用担当者に伝わります。
🚀 志望動機を書く前にやること
- 応募企業の公式サイト、ニュースリリース、採用ページを熟読する
- 「なぜこの会社なのか」を自分の言葉で説明できるようにする
- 企業研究で見つけた「刺さるポイント」をメモしておく
- この記事の例文を参考に、自分の状況に合わせてアレンジする
- 書き終えたら、チェックリストで確認する
志望動機は、あなたの「この会社で働きたい!」という熱意を伝える大切な機会です。
時間をかけてでも、納得のいく志望動機を作ってください。その努力は、必ず採用担当者に届きます。
あなたの転職活動がうまくいき、理想の職場に出会えることを心から願っています!